いつも待ってばかりだ、私は。
朝の通学路
いつもより早く着いた教室で
時々独りで食べる昼食
終礼から教室を出るまでの一瞬
あなたは授業中、外ばかり見ている。
数学が得意で、社会の時間は資料集を丹念に読んでいる。
罫線のない無地のノートに綺麗な字を書く。
どうして私を見てくれないの?
こんなに想っているのに。
言葉にできないこの気持ちは、だから届かない。
あなたが早く、私を見つけ出して。
そうしたら、世界の全てが変わっていくのに。
心の中でいつもつぶやく、
お願い振り向いて、私を見つけて。
奇跡は起こらない。
偶然は都合よく私たちを出会わせてくれない。
落としてしまったハンカチも、
他の誰かがひろってしまう。
雨のバス停も人が一杯。
このままずっとすれ違って終わってしまうの?
でも、もう嫌なの。
もう待たないと決めた。
私があなたを見つけたんだもの。
だからもう、振り向いてなんて言わない。
勇気が貯まるにはまだ一月くらいかかりそう。
もうすぐ私の気持ちを言葉にしてあなたに伝える。
だから、夏が始まる前に世界は変わるはず。
今年はきっと忘れられない夏になる。