幸せの鍋ピカピカ

人それぞれ、幸せの形はいろいろあるだろう。
私のそれは鍋ピカピカだ。
鍋の中の料理が平らげられ、中身は空っぽになっている。
一晩煮込んでこびり付いた汚れも、たわしでゴシゴシ丁寧にとる。
最後に水をかけて、洗剤の泡を洗い流す。
ステンレスがテカテカと蛇口を映すのもいいし、
年期の入った銅が鈍くけれど暖かく光るのもまたいい。
水を切り、最後にコンロで軽く炙る。
そして冷めたら棚に片付ける。
次は何を作ろうかな、
なんて考えながら戸棚の扉を閉じる。