小指に力を込めて

野が哭いて、風が叫んでいる。
しっとりと重いソレは、まるで川の流れのよう。
風の中へ、両の腕を左右へ広げてみる。
私の翼は不器用で、
 上手に風を掴めない。
私の体は重すぎて、
 空を自由に遊べない。
けれど私の心だけは、
 いつだって羽ばたくことができるよ。
雨上がりの夕焼けの中で、
そっと小指に力を込める。


台風がきて風が重い記念
ちょっとタイフーン・ハイだった。

砂糖壷

「言葉の魔法」というものはヤハリあるようで、
その呪いに捉えられて初めて気が付く。
私の場合それは砂糖壷に集約される。
砂糖壷と言ってもマグカップ大の100均ショップで買ったもの。
塩は普通にプラスチック容器に入れてる。
他の調味料も似たようなものだ。
母は梅干しをインスタントコーヒーの空き瓶でくれる。
父が陶芸をやっている訳でもない。
独り暮らし始めて3年、
自炊に夢中って程でもない。
砂糖は壷に入れなきゃいけない気がして、
なぜかしら落ち着かない。
母の好みか我が家ではあまり砂糖を使わない。
玉子焼きにも砂糖は入れない。
そのせいかな?
違うよねきっと。
宝石箱、みたいなものかな?


砂糖を使いきって砂糖壷を洗った記念

グリーンカーテンの裏側

いつの頃からかグリーンカーテンが大繁盛。
小・中学校でよく見るなぁ、と思っていたら、
よく行く近所のお食事処にも出来ていた。
〇〇亭という家族でやってる所だ。
店の中から見ると、
カーテンはスノコみたいな働きをして、
外を呆けて眺めていることを忘れさせる。
まだ夏休みなのか、
ランニングの男の子と、
アマガエル越しに目があった。
ふと気が付くとゴーヤの実が生っている。
お店のおばちゃんに訊いたら、
つけ合わせの佃煮のゴーヤはコレだそうだ。
カーテンの向こう側は青い空、
夏は、もう少し続きそうだ。


ゴーヤの裏側にアマガエルがいた記念
於、某8番ラーメン

お酒には気を付けて

「酒くらい飲めんと、社会に出たら困るぞ。」
そう言われて俺は育った。
甘酒はもちろんダメで、
酒粕なんかも食べられない。
大学へ入って酒を飲むようになった。
飲んでも赤くならないので、
どんどん勧められ、
気が付いたら、実は酒には強いようだった。
けれど、飲んだら無礼講というのはダメだろう。
何でも酒のせいはイカんよ。
そんな事ばかり考えながら、
宴席の隅で一人魚をツツいていた。
「お酒飲みの食べ方だ〜。」
赤い顔をして女の子、油断全開でやってきた。
そんな調子で飲んでたら、変なヤツにつかまるぞ。
たまたま俺だったからいいけどな。


買い物して帰ってきたら続きができた記念
なんとなく話をペアにしないといけない気がして。

少し酔ったのゴメンなさい

「お前は将来きっと飲み助になるぞ。」
そう言われて私は育った。
焼き魚の時に、
ちまちまと身をキレイに食べるから、だそうだ。
父だけじゃなく、親戚皆して同じ事を言う。
そんなお酒好きの親族では、
男は飲ん平、女は飲み助と呼ばれる。
まぁ、ほとんど皆がそうなんだけど。
大学に入ってお酒を飲む機会が増えた。
すぐ顔が紅くなってしまうので、
あまり勧められることはない。
ちょっと物足りない気が、しないでもない。
あすこにいるのはイイ感じの男の子。
酔った風で話してみようかな。
これでも私は人見知り、
ちょっとくらいウソでもいいよね。


こぞくら焼いて食べた記念
食べる身がなくなると、骨を食べます。

カルピスは薄めで

濃い目のカルピスはちょっとしたゼイタクだった。
兄弟4人で分け合うと、
濃い薄いでも一悶着。
会社帰りに飲みながら、
少しだけそんな昔話をしてた。
気が付いたら、
カルピスは薄めが好きになっていた。
いつのまにか歳をとっていた。
日曜の朝に、
そんな話を娘たちにしていたら、
「カルピスって水でのばして飲んでたの?」
末姫子にきかれた。
「今はそのまま飲むのが売ってるよ。」
と長女。
気が付いたら、
随分歳をとっていたようだ。


今日もカルピスは薄めで記念

由来は秘密

赤信号で止まっているとき、
気が付いたら、ナンバーが同じだった。
後ろの車に乗っているのは若いお兄ちゃん?
ナンバーを決めるのに手間取った。
自分の生年月日はダメらしい、
カードの暗証番号とかカブリがち。
結局、あの人の誕生日にした。
あの人がどの人かは言えないね。
車のナンバーは「803」
前の車に乗っているのは若い(?)お姉ちゃんかな?
19xxなら本人の生年だろう、大方。
3ケタは意味有り気だが分からない。
「803」は10数年前に勝手に決まった番号だ。
偶然だが苗字の「山」をとってヤマサンと読める。
車を変えた時、覚えるのが面倒で前のと同じにした。
皆にすぐ覚えてもらえるので、
悪いことはできない。
何で「803」にしたんだろう?


前の車とナンバーが同じだった記念
微妙に実話が混じってるかも。

白いお皿に映えるもの

目で食べて口で味わう、
とは言うけれど。
実はカラフルな料理はあんまり得意じゃない。
おばあちゃん子な私なので、
魚や煮物な和食が主食、
洋食はスパゲテーがいいところ。
イタリアン、フレンチそれって何?
やっぱ、地味な色合いが美味しそう。
アースカラーがいいよね。
実はカラフルな料理がちょっと苦手だ。
作るのもやっぱりそう。
赤や黄色のピーマンを、
キレイに炒めるのは難しい。
できたらできたで、
コレ食べ物?って気がするし。
決して料理が下手なわけじゃない。
実はカラフルな…
もういいよね。


ホーローのストッカを漂白したら真っ白になった記念
カレーの汚れがキレイさっぱり落ちました。

没タイトル

メモ用紙が一杯になったので整理。
というか、これもネタにならないかと…
■キャベツに紋白蝶
 そんなアタリマエの風景を忘れていた
 けれど続かなかった
■お仏壇と死体
 軽い話です、オチがつかなかった
■おばあちゃん一休み
 いつも決まった時間に散歩しているおばあさんが、
 部屋の前の階段で一休みしていく
■カレー女子の話
 よくある残念女子のこと
■羽毛フトンとタオルケット
 話が絡まなかった
■heavy-berry
 話が広がらず、ただのウソになった
■蛍に願いを
 ロマンチックになり過ぎた
■Time enough for the summer
 方向性が定まらなかった
■応答速度が遅すぎる
 ただの地味話だった
■レシートから広がる幸せ
 別世界へ行ってしまった
■そろそろ大名おろしも卒業
 最近ではアニメの女の子もちゃんと魚をおろしてるよ記念
 にならなかったよ

別に大した事じゃない。

年に幾度かお昼に風呂を沸かす。
湯舟に浸かり窓を開けると、
そこには陽の光を透かしたステンドグラスが見える。
別に大した事じゃない。
夜は暗くてよく見えないし、
朝シャワーだと向きが悪くて、やっぱり見えない。
だから、お昼の入浴は少しだけゼイタクだ。
別に大した事じゃない。
私だけの一人占めのとっておき。
秘密ってほどじゃないけど、特に誰にもしゃべらない。
それだから、人に指摘されるとちょっと腹が立つ。
別に大した事じゃない。
久し振りに友達が泊まりにきた。
夜勤明けで疲れてるようだから、朝からお風呂を沸かした。
ステンドグラスが見えるね、と彼が言った。
別に大した事じゃない。


窓からステンドグラスが見える記念
日曜に昼風呂した。