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北陸のカワウソ

2020. 2.24 2013年以降の記録を更新しました。
ぼちぼちとまとめています。

ブログの最近の記事はこちら → 「カワウソ」
カワウソ動画はこちら → YouTube



(写真の美人は越前松島水族館のコツメカワウソ)
金沢を中心として、北陸三県のカワウソ情報をまとめてます。


野生のカワウソ
飼育されているカワウソ
 ・ 富山市ファミリーパーク
 ・ 越前松島水族館
 ・ のとじま水族館
カワウソの足跡
カワウソ リンク



野生のカワウソ

残念ながら、近年では野生のカワウソは北陸では見ることができません。

私はカワウソのことを母から「カブソ」と聞いています。
母は小さい頃に、勘太郎橋にカブソが出たとか、カブソが絣(カスリ)の着物きて化けて出るとか聞いたそうです。
これが私のカワウソ原体験かもしれない。

その後、中学生の頃にGavin Maxwell「かわうそ物語」リーダーズ・ダイジェスト版を読んでカワウソに取り付かれました。
しかし、その頃には既にカワウソは実質的に絶滅種として扱われていました。
野生のニホンカワウソを見る機会はなかったわけです。

第4次レッドリスト(平成24年8月、環境省)にて、ニホンカワウソ(Lutra lutra nippon, Lutra lutra whiteleyi)が絶滅危惧種から絶滅種に変更されました。
 参考:第4次レッドリストの公表について(お知らせ 8月28日)@環境省

明治以降の毛皮輸出にともなうカワウソの乱獲までは、どこにでもいる普通の動物だったようです。 明治末(1910年)までは富山県でも20頭の捕獲記録が残っています。



飼育されているカワウソ


より大きな地図で 北陸 カワウソ マップ を表示

金沢近辺では次の3つの水族館・動物園でカワウソに会えます。

富山市ファミリーパーク / 公式: ユーラシアカワウソ 2頭
越前松島水族館 / 公式: コツメカワウソ 兄弟 2頭・姉妹 2頭+2頭
のとじま水族館 / 公式: コツメカワウソ 夫婦+子供たち 6頭
いしかわ動物園 公式 には残念ながらカワウソがおりません。


カワウソの足跡

金沢近辺の民話・昔話をざっと見た限り、キツネやタヌキと同じようにカブソ(カワウソ)も多く登場し、人を化かしています。 ちょっと集めてみました。


○ 金沢口承文芸研究会編「金沢の昔話と伝説」 1981年刊 より

[ カブソ(獺)退治 ]
 元気なオッサンが、雨の日に蓑を着てあるいてたら後ろからカワウソがついてきたので捕まえた話。
 特にカワウソが悪さしたとかではない?

[ 川獺に騙された話 ]
 カワウソが見事に化けるというので捕まえて縄で縛っておいたら、
 朝になって見てみると鞍掛けだった、という話。

[ カワウソの名剣 ]
 河川工事の人夫にいたずらをしたカワウソが捕まっていじめられていた。
 それを蓮如さんが引き取って逃がしてあげたら恩返しに短刀を咥えてやってきた。
 それが今、金沢市二俣の本泉寺に伝わっている。


○ 堀麦水「三州奇談」18世紀中頃? 1972年刊復刻版より

[ 藤塚の獺祭 ]
 藤塚は本吉の古名、本吉は現在の白山市美川町本吉。
 手取川の河口のこのあたりはカワウソも多かったが、人を騙すことはなかったそうだ。
 そのあたりの村長笠間家に春になるとカワウソがマスを供えに来る話とその起こりについて。


○ 金沢のふしぎな話「咄随筆」の世界 2004年刊
1726-27年に集められた咄随筆より。

[ 人の助けをする獺 ]
 五間堂村(現 根上町)で元禄の頃のお話。
 カワウソが人助けをしたり、川の魚を人が採った腹いせをする等、
 不思議なことが続けて起こった。


○ アイヌの伝承も調べてみた。
こちらでは、より身近な生き物としてとらえられていて面白い。
カワウソはアイヌ語ではエサマン(esaman)。

参考文献:
更科源蔵 著 「アイヌ文学の生活誌」NHKブックス 1973
知里幸恵 編訳「アイヌ神謡集」岩波文庫 1978
知里真志保 編訳「アイヌ民譚集」岩波文庫 1981


[ カワウソは働き者で立派な外套を着て裕福に暮らしていた。 ]
 他方、キツネはなまけ者でボロ外套を着て、いつも他のものを盗んだりして嫌われていた。

 この比較はカワウソやキツネの外見をよく表していて面白い。
 カワウソは水に入り捕食するため、毛皮が痛むことは死にもつながる。
 一方、映像でみるかぎりキタキツネは、季節によってかなりボサボサな感じだ。

実際に明治以降のカワウソ毛皮の輸出は幾許かの富をもたらしたのだろうが、
それがカワウソに還元されることはなかった。
「毛皮は、その持ち主が着ているのが一番美しい」
と言われるようになるのは、合成繊維など代用品が普及してからだろう。

[ カワウソは頭がつぶれていて物忘れが激しい。 ]
 よく物忘れをする者を「あいつはカワウソだ」といい、
 要領を得ない伝言や復命を「カワウソの使い走り」などという。 

これも頭骨が扁平なカワウソの特徴そのものだ。
ただ、カワウソの習性や生態との関係はどうだろう?
水族館や動物園のカワウソは成獣でも、よく小石などで遊ぶが、
寝るときにはケロッと忘れてほっぽり出してしまう。
野生の場合にも似たような事があったのかもしれない。

ちなみにラッコは好色と見られていたらしく(艶笑譚に出てくる)、
 ラッコの毛を撫でるとその方へなびいたままになっているので、
 誰にでもなびく浮気な女を「あいつはラッコだ」といったとそうだ。


「化かす」ことについては次の本も興味深い。
内山 節
日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか
ISBN 978-4-06-287918-7
[ honto / amazon / 国会図書館サーチ ]


記録:
2022年 3月20日 久しぶり越中松島水族館
2021年 1月17日 のとじま水族館久しぶり
2020年 2月23日 富山市ファミリーパーク
2020年 1月18日 富山市ファミリーパーク
2019年10月13日 姫路セントラルパーク
2018年10月20日 神戸王子動物園
2018年 8月19日 アクアマリンふくしま
2018年 5月 9日 アクアマリンふくしま
2016年 5月 6日 アクアマリンいなわしろカワセミ水族館
2015年11月23日 アクアマリンふくしま
2013年10月22日 富山市ファミリーパーク
2013年 9月29日 富山市ファミリーパーク
2013年 7月24日 木登りカワウソ
2013年 7月15日 ZIP×カワウソ? (ZIP!『なるほどマスカレッジ』)
2013年 6月 6日 ニホンカワウソの骨
2013年 5月17日 スペイン料理
2013年 1月27日 オオカワウソが来た! (NHK ダーウィンが来た!)
2013年 1月10日 種としての生存
2012年11月 8日 野生動物との距離
2012年 9月16日 カワウソ雑話
2012年 8月28日 ニホンカワウソ絶滅宣言
2012年 8月21日 カワウソの赤ちゃん@TV
2012年 8月 4日 涼気分、スーパー編
2012年 7月18日 文芸的側面:アイヌ編
2012年 7月17日 解剖学的に
2012年 5月 4日 カブソが出た
2012年 5月 3日 デビューしました
2012年 4月28日 日本人はなぜカワウソにだまされなくなったのか
2012年 3月28日 北陸でカワウソ
2012年 2月27日 カワウソに呼ばれる
2012年 2月26日 大っきく育ってね
2012年 2月19日 カスリ着たカワウソ
2012年 2月19日 春待月
2012年 2月17日 今週のカワウソ情報
2012年 2月 4日 名前を付けて
2012年 1月29日 カワウソ入門
2012年 1月27日 尻尾が足りない
2012年 1月26日 分からない日本のカワウソ
2012年 1月21日 今週のカワウソ情報
2012年 1月17日 カワウソ昔話・補遺
2012年 1月16日 カワウソ昔話
2012年 1月14日 カワウソの赤ちゃん
2011年12月 2日 カワウソ熱
2011年11月24日 マスコット
2011年11月 6日 カワウソの赤ちゃん
2011年 3月13日 Ring of Bright Water (DVD)
2007年 2月10日 Ring of Bright Water (本)


カワウソ リンク

Das Otterhaus 【カワウソ舎】
 写真作家・佐藤淳一さんのカワウソ ブログ!


 
佐藤淳一 写真・文
カワウソ
ISBN 978-4-487-80436-8
[ honto / amazon / 国会図書館サーチ ]
カワウソ入門・布教にはぜひこの一冊を。


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