雲の上のキスケさん 鴨居 まさね BSマンガ夜話
この回で非常に気になったことは,「いしかわさんが(何か言いたそうで)言わなかったこと」でした.
これは単に「普通」は当たり前だから語り辛い,ということではないと思うので考えてみました.
「普通」という言葉の意味にもズレがあったたような気がするので,注釈をつけてみますが.
いしかわさんの「キスケさん」評価は,「世間一般の普通な(平均的な)人が読む,普通(常識的)の面白いマンガ」.
ということで,普通の(あたりまえの)マンガ.
一方,夏目先生は,「マンガ史的に見て,普通(世間での常識,マンガ界ではいままで極めて少なかった)を,普通に(マンガ界の人たちに違和感なく)描いたこと,がエポックメイキングである」.
岡田さんは上述のマンガ界をオタク界に変えて夏目先生に同じ.
ゲストの枡野さんは素直な方で,なんにでも感動してしまう系な感じで,どちらともいえない?
これを整理してみると,いしかわさんは世間の平均的な読者の視点であり,夏目先生と岡田さんはマニアの視点から話をしていると思うのです.
ここで,石川さんが言わなかったことを勘ぐってみると,
(1) 普通な(当たり前な)ものを一部のマニアが熱烈に評価すると,普通(一般)の人は退く.
(2) (1)によって違う価値感が定着し,これまで普通に(自然に)感じられていた作品の良さが見失われる.
(3) マンガ夜話の中でマニア視点の雰囲気が支配的になり,普通の人たちが離れる.
ということなのかなーと思ったり.
もちろん,これらの前提には問題もあります.
いしかわさんはもちろんマニア的視点を持ってますし,普通の読者代表というのも今回に限ってのお話.
また,夏目先生はもともと「マンガ学」にあまり肯定的ではなく,(2)のようなことを懸念されていたはずです.
それを知った上であえてマンガ学に踏み込んだのですから,(2)はある程度は仕方がないと考えているのかなぁ.
(3)については,第27弾のラインナップを見てもマニア向けに傾きつつあるような気がするのですが,NHK 的に(大月さん的に) OK ということなのでしょうか?
話はつながってないかも知れませんが,結論です:
私が求めているのが「マンガ批評」や「マンガ学」よりも「マンガ書評」であるらしいことでした.
ということで提案,NHK には,「マンガ書評」を月2回くらいのペースでやるか,同じく BS の「週刊ブックレヴュー」にマンガコーナーを作ることを希望します.
できれば「マンガ夜話」とは別物としてお願いします.
いやまじで.
少年西遊記 杉浦 茂 BSマンガ夜話
レギュラー・ゲストの皆さんの意見が割れない回は平和ですね.
今ひとつ,見ている方は置いてかれる気分かも.
(私は読んでいないので)
何度でも読めて,いつでも楽しめる,幸せになれる.
でも,まぁ,これがマンガの原風景の一つなのでしょうね.
一度読んでみようかな.
メモ:ファウスト Vol.1 買うです.