リア-フの物語

プロット
小さな町のごく普通の家に彼女は生まれた.
そして,普通の町娘として育ち,暮らし,子を育て,家族の墓に入るはずだった.
彼女がまだ幼かった頃,街は竜の襲撃を受けた.
その一晩で町の多くの者が命を失った.
朝になって,彼女は自分が一人ぼっちになったことを知った.
竜を追うものたちに見つけられ,引き取られた彼女は,その名をリアーフといった.
「竜を追う者達」は人知れず山間に住んでいた.
彼らは賢者らの指導のもとで密かに魔法使いを育てていた.
それは来るべき竜族との対決のための準備であった.
その中でリアーフも魔法を少しづつ習得していった.
密かな生活の中で,彼女は自分の恋に気が付いた.
若き指導者の一人は,智と力に満ちており,彼女には眩しかった.
それは適わぬ夢であり,それ故にリアーフは露にすることなく, 心の奥底にしまった.
しかし,つかの間の平和な日々にも終わりがきた.
魔術の匂いを嗅ぎつけた竜は,彼女らの村を襲った.
いまだ技の未熟な魔法使いの弟子たちは, 抗うすべも無くたやすく竜の餌食となった.
むしろ隠すことのできない若々しい魔力が, 彼らの仇となり,逃れることさえ許さなかった.
助かったのは,偶々村を離れていたリアーフら数名だった.
生き残った者に待っていたのは地獄だった.
度重なる竜の襲撃,復讐のための厳しい修行と生活,
彼らには,一瞬の安らぎの時間さえかなわぬ夢となりはてた.
殊に,他のものに比べ資質乏しいリアーフにとっては,荷は重かった.
彼女の想い人が,竜の手に掛けられたとき, その絶望は,彼女から女としての全てを奪い去ってしまった.