クルクスス カルカクンデ
後の歴史で語られるところによれば,イリティヨン城宮への襲撃は東征公家(シグア家)が関与していたという.
彼らは戦後の混乱を巧みに利用し,力を集め,その矛先を主公家と竜族に向けさせた.
一度流れが出来てしまうと,力は力のために求められ,次第に大きく成長しそのはけ口を欲した.
最後の一押しが成されると,堰を切ったように力は城を襲った.
当時,世界を統べるのは竜人族の盟主たるオーダー王家であり,人族の筆頭ルウィク公家がその補佐に当たっていた.
しかし,それはあくまでも名目上であった.
人族のみならず,竜人族も先の征竜同盟によって疲弊していたからである.
悪竜の封滅によって,魔力の源である多くの宝玉と宝剣が失われ,多くの犠牲者を出し,かなりの土地が荒廃した.
残されたものたちは,多くの怪我人や病人を支えながら,生きてゆかねばならなかった.
竜人族に残された僅かな宝は,主都イリティヨンに集められ,世界再建の礎とされた.
しかし,その力を支えるには,オーダー家とルウィク家だけではあまりにも疲れていた.
封滅の際の国土の荒廃によって,数多くの難民が主都へやってきた.
彼らは明日の食事にも事欠いていた.
日に日に多くなる避難民に,主都の食料の蓄えも心もとなくなっていた.
かの騒乱が起こったのはその頃である.
襲撃は不可避の出来事であったとも云われるが,本当だろうか.
実際,小さな騒ぎは後を絶たなかったが,組織化されていなければ,城が落ちることは無かったであろう.
また,その次の夏はそれまで数年に比べよい気候であり,騒乱がなかったならば食糧事情も好転していっただろう.
栄華の後の混乱ではあったが,この頃の人族はいまだ竜人族の下で敬謙に世界を統べていくことができたはずである.
しかし,シグア家の企みは全てを見通すかのように,最悪の状況へと世界を陥れていった.
城への襲撃が最悪の結果に終わったのは,それが後に続く多くの悲劇の始まりとなったためである.
城の精鋭は不意を付かれたが,先の同盟を生き残った者達である.
組織化されたとはいえ暴徒をものともしなかった.
失われた命は10名に満足ず,多くの宝玉は無事守られた.
しかし,最も守られるべき王権の象徴「水の舞」とエイノア姫は奪われた.
また,このとき多くの竜人族と人族が剣をまみえている.
これは有史以来極めてまれな出来事であり,このことから生じた幾つかの誤解が後の人竜戦争の発端となった.
————
仕事方面で,自発的にナニしてアレすることに.
ということで,生活は超節制モードに入ります.
すいませんが,分かる人だけ分かってください.
体調絶不調で早く帰って蕎麦食って寝ました.
読了:よみきりもの 6 竹本泉
いつまでも変わらない世界がココにある.
メモ:マヤ 須藤真澄
近所で見つからなかったので bk1 しました.