非天然色 4

居酒屋が好きだ.
といっても,週に一回いつものお店で晩御飯がてらにちょっと飲む程度.
できるだけお店が空いている時間に行く. TVを見ながら,食べながら,飲みながら,ママさんと何でもない話をする.話をするだけだ.
元々は,悪友に飲みに連れられてお店に来ていた.そのころは,私は一人で飲みに行くことがなかった.彼女が東京へ転勤してしまった後,すでに習慣になっていたからか,このお店へ飲みにくるようになった.もとい,食べにくるようになった.
すぐそばの大学の,ママさんは私の先輩だ.しかし,仕事の上では私は後輩には成れないらしい.一度私は玉子焼きを焼かせてもらった.フライパンを焦げ付かせてしまったせいで,私はこのお店では働かせてはもらえない.
いつの間にか,常連の中でも私は古株になっていた.もともと客の大半が学生なので,数年も通う人はそんなにいない.その中でも私が言葉を交わす人はそんなにいない.
時々は店の猫のクロと遊ぶ.私は猫が好きで構いたいのだけど,クロはそんなに私が好きでもないみたい.ネコジャラシで誘うけれど,直ぐに他の人の所へ行ってしまう.
「あんたが小さいときには,咬まれて傷だらけにされたのよ.ちょっとは責任とってちょうだい.」
と言っても知らん顔.
TVが調子悪くて,いつも緑がかっている.けれど,そんなこと気にする人はいない.そんな店だ.私が週に一回通うお店は.