なんというか,都俣さんの造形は雑だ.顔は目だけ.横一本線の瞼と縦一本線の瞳,こけしほどの愛想もない.手足が針金というのもアレだが,ともすれば,その手足も本体とつながっていない.というか,服の中には中身がない.一度,挨拶をするときに帽子を脱ぐと,帽子を被っている部分の頭がなかった.
体は雑な都俣さんだが,仕事をもくもくとこなす.相変わらず,人の少ない時間の公園で,空き缶をゴミ箱へ捨てたり.小さなゴミを拾い集めている.ちなみに,人が多い時間に活動すると,子供たちにオモチャにされてしまうのだそうだ.
私はというと,時々公園へやってきては都俣さんの邪魔にならない程度におしゃべりをしている.
「良い天気ですねぇ」
「今日は春分ですね」
他愛もないことを,他愛もなく話す.邪魔をしていないつもりだが,それも微妙かも知れない.
今日も都俣さんはもくもくと働く.