本物の立体TVって何だろうって考えると,
立体表示のみならず色々な条件が必要そうです.
■. 周辺環境を認識し,適切な表示を維持する
これは普通のTVにも欲しい機能ですね.
周りの明るさによって輝度やボリュームをある程度自動的に変える.
昼間は輝度を上げてとか,夜は輝度を下げて音量を絞るとか.
立体映像には背景がないので,ここら辺はよりシビアになりそう.
■. 視聴者の位置を認識し,最適な映像を構成する
「多方向から見える」ことは立体TVの最大の特質ではないはず.
それだけなら,2次元ディスプレイが視聴者の位置にあわせて映像をコントロールすればいいだけです.
立体映像の醍醐味は,奥行き方向の情報を最大限に活かした表現でしょう.
そして,人間の目には透視能力がないので,半透明な表示など多層的な情報表示の工夫が必要でしょう.
そのためには,恐らく視聴者の位置認識が不可欠になります.
逆説的になりますが,本当の立体映像は視点の位置を選ぶものになると思います.
以下蛇足です.
ネタ(妄想)で,立体映像の原理を中心にしたSFを考えていました.
交差させたレーザーを「量子遅延効果(妄想)」によって発光させ,空間上で結像させる.という原理.
大学の研究室を舞台に,透明な樹脂ブロック内で10x10x10ドットの解像度で試作品を作るという粗筋でした.
時代は10年後くらい,日本の大学は予算縮小で(極一部を除き)弱体化し,
企業を含め日本全体の技術力基盤の縮小に歯止めがかからない悪循環という背景.
主人公は期待されていなかった大学院生ですがこの試作品をきっかけに,
講座内,大学内,企業の社会力学(政治)に巻き込まれる.というお話です.
発明としては,結局海外のメーカーが先駆けて製品化されてしまいます.
職人的な技術力に高いものがあっても,システムとしてそれを活かせない日本の弱さの結果として.
主人公はこの成果を捨て,新たなスタートに立つのですが…
いつか形を変えて,ちゃんと書きたいものです.