昨日,あちこちのニュースで流れていましたが,
SF作家のA. C. Clarkeさんが亡くなりました.
ご冥福をお祈りします.
# 最後に”e”のついているClarkeさんです.
私にとっては,もっとも影響を受けたSF作家さんです.
なので,追悼の意を込めて簡単に作品をご紹介します.
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銀河帝国の崩壊 アーサー・C・クラーク著 井上 勇訳 出版 : 東京創元社 サイズ : 15cm / 212p ISBN : 4-488-61101-X 発行年月 : 1992 |
「銀河帝国の崩壊」では,
数億年の時間と数千光年の空間という壮大なビジョンのなかで,
その圧倒的な孤独と,一人の少年が対峙するというものでした.
おそらくこういう作品が「クラークさんは冷たい」と云われるところなのかもしれませんが,
叙事的な表現はむしろ俳句に馴染んでいる日本人向きなのでは?とも思います.
今でもたまに読み返すとタメイキがでます.
リメイク版の「都市と星」も好き.
原題は “Against the Fall of Night”.
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2010年宇宙の旅 アーサー・C・クラーク著 伊藤 典夫訳 出版 : 早川書房 サイズ : 16cm / 428p ISBN : 4-15-011052-2 発行年月 : 1994.3 |
「2001年…」シリーズの書籍では,これが一番好きです.
日本語訳が出てすぐに読んだのが大学生の頃でした.
映画版は最後のメッセージに蛇足がついたことで,魅力が半減しましたが,
こちらは映画にはない中国の宇宙船が出てきます.
そして,そのエウロパでの事件が…
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幼年期の終り アーサー・C・クラーク著 福島 正実訳 出版 : 早川書房 サイズ : 16cm / 390p ISBN : 4-15-010341-0 発行年月 : 1979.4 |
「幼年期の終り」は読む人を選ぶ作品ですね.
人類の最後については,常識的にはグロいだろうなぁ.
しかし,そのビジョンは衝撃的でした.
その比較では,2001年と対になる作品なのかも.
ここからは,クラークさんが影響を受けたという作品をご紹介.
O. Stapledon さんです.
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最後にして最初の人類 オラフ・ステープルドン著 浜口 稔訳 出版 : 国書刊行会 サイズ : 20cm / 396p ISBN : 4-336-04538-0 発行年月 : 2004.2 |
学生時代に英語版を読み始めましたが,数章で断念.
2004年にようやく日本訳が登場しようやく全文を読めました.
SFがまだ文学であった頃,未来予測がSFの使命の一つであった頃の作品.
この本が出てから80年あまり,人は何を学んできたのだろうかと考えます.
まさしく未来の歴史です.
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スターメイカー オラフ・ステープルドン著 浜口 稔訳 出版 : 国書刊行会 サイズ : 20cm / 390p ISBN : 4-336-04621-2 発行年月 : 2004.1 |
こちらもスゴイ.
恐らく,これまでで最もスケールの大きな”年代記”なのではないでしょうか.
当時の宇宙観をはるかに越えています.
# 現代のそれも越えています(笑.
こちらは”宇宙の歴史”ですね.
「幼年期の終わり」の原型も見えます.
私の好みですが,紹介させていただきました.
改めてクラークさんのご冥福を祈ります.
多くの作品を,ありがとうございました.