「計量,って何だかズルい気がするの」
と云ったらチハちゃんに鼻で笑われた.
練った挽き肉からお団子を作る.
左右の手でキャッチボールをしながら空気を抜く.
平たく伸ばして一個ずつラップで包む.
いつも最後に半端な量が残ってしまう.
小さなやつが一個か二個どうしてもできてしまう.
その小さなハンバーグは,味見用としてそのまま焼いて食べるのだ.
証拠隠滅のためじゃない.
チハちゃんはしょっちゅう家で料理を作っているという.
お母さんが作ってくれるのに,それを手伝っている.
「嫌いじゃないから」
彼女にしてはネガティブな言い方だ.
もともと,そんなに料理をしない私だけど,
チハちゃんと遊ぶようになってから,
(というか飲みにいくようになってから,)
時々だけど,料理を教えてもらうようになった.
「性格がO型」と言われる私は,やはりO型だ.
血液型のせいにするわけではないけれど,
非常に大雑把な性格だ,自覚はしている.
面倒くさいとは思わないのだけれど,
なんでも目分量でやってしまう.
だから,同じ料理を作っても,作る度に味が変わる.
「当たり前だ」とチハちゃんにはダメ出しされる.
彼女が作る料理も,味付けはいつも同じではない.
けれど,カボチャの煮付けを作ると,
カボチャが美味しいときはいつも以上に美味しい.
感覚的なのね,とチハちゃんがフォローしてくれた.
どうやら私は計量スプーンや計りを信用していないらしい.
そうなのか,そうだろうな.
彼女に言われると妙に納得してしまう.
チハちゃんは何でも私のことを言い当ててしまうから.
さて,どうしようか.
晩にチハちゃんが来るまでに考えておかないと.
いつもと同じ材料で作ったハンバーグが,
たった8個になってしまった理由を.