世界は○○○でいっぱい

山本弘
神は沈黙せず 上
ISBN 978-4-04-460113-3
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山本弘
神は沈黙せず 下
ISBN 4-04-460114-3
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ネタバレがあるので、まだ読んでいない方はここでさようなら。

世界はシミュレーションでいっぱい
このお話の中で世界はシミュレーションです。
正確には、こちら側からそう推測されています。
本編のお話は読んでもらうとして、ここでは「世界はシミュレーション」についてダラダラと。
まず思い出したのが、
鈴木光司「ループ」1998
「リング」「らせん」の続編ですが、読んだときはビックリしました。
一階層上の世界で知性体をシミュレートしていると、
社会が高度化していくと「リング」のような現象が発生して滅んでしまう。というお話。
強引な落とし方だなぁと当時は思ったのですが、詳細は忘れています。
確か、シミュレーションとそれを実行している世界を行き来するような展開があったような?
これを忘れてはいけないというのが、
Edmond M. Hamilton「フェッセンデンの宇宙」(wiki)
SFファンなら説明する必要のない作品ですが、意外と短い短編なんですよね。
立ち読みですませた記憶があります。
SFの流れでお話をすると、乱暴ですが次のような存在があります。
「宗教」→「(狭義の)科学」→「宇宙人」→「シミュレータ」
人智を超えたもの、人類の上位的な立場の存在が、みんな好きなんですね。
「割り切れないもの」や「正義」などの根拠を絶対的な存在を仮定してそれの責任にしてしまいたいのでしょうか?
定向進化論など「偶然による産物」という考えをなぜそこまで嫌うのか?
SFとして面白いか否かはまた別のことですが、
私には、その時々で考えうる道具(神話、進化論、コンピュータ、量子コンピュータ)を使って無理やり世界を複雑にしているように感じます。
「人間原理」にしてもそう。
「エーテル理論」と同じで、正しいかどうかについて問う意味が無い問題です。
William O.Stapledon「スターメイカー」1937
以降はvisionとしてこれを越える作品は出ていないと思う。