玉ねぎはおいしいよね

渡辺カナ (HP, TW)
花と落雷 1
ISBN 978-4-08-846883-9
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なんていうかね、この台詞なんですよ。
「玉ねぎはおいしいよね」
ここらへんが好きなんですね、渡辺カナさんの作品。
台詞一つ取り出しても、文脈も説明されないと何にも伝わらないですね。
モノローグの中に差し込まれたシーンの中で主人公がぽっと発した言葉で、
友達も、「え?、何 急に」となります。
会話は特に続くわけではなく、モノローグに戻ります。
特に複雑な展開でもなく、内容は進んで行きます。
だから、構成がどうこうとか表現技法がどうこうではないと思いますが、
何なんでしょうか、私はこの台詞に引っ掛かるんですよね。
こんな会話自体に意味のないやりとりって日常的に結構やってると思います。
例えば、上のような状況があったりするのだろうと。
自分でも自覚なしに何かの考えがぽつりと口から出たりと。
人っていうのは合理的に動いているつもりでも、日常では色んな糸が絡まったり交差したり。
それでも、時には何の意味も脈絡もなく出てくる言葉もあったりする。
そんな当たり前が私は好きなんでしょう、と思う。