断片

私は小さい頃,訳もなく泣いた.
そのとき,いつも,
「帰ろう,帰ろう」
と言って両親を困らせた.
その家は,私が生まれ育った家そのものだったのに.
「故郷」を,私が探し始めたのは,物心がついてすぐだった.