パンを食べ尽くせ

命令形だ。
なぜならば、我が家はパン党だから。
ただし、父さんをのぞいて。
朝は必ずパンとコーヒー。
昼は学食だけれど、
晩御飯でも半分くらいはパンかな。
パンといえばバゲットだ。
トラディッショナルな、甘くない硬いヤツ。
これは母さんがゆずらない。
だから、いうなれば我が家の掟である。
姉さんはワンポイントが好み。
クルミやドライフルーツが入ったもの。
季節にはクリや五郎島も。
私はといえば甘党で、
生クリームやカスタードを乗っけるのが大好きだ。
だから、いつまでも子供扱いされている。
新しいパン屋さんのオープンは必然、一大イベントになる。
週末には一家揃って買い出しだ。
全品コンプリートも、小さな店なら冗談じゃない。
しかし今日は、学校帰りに一人で抜け駆けである。
通学路の近く、友達に教えてもらった新しいパン屋さん。
裏通りなので目立たない小さな構え。
今時にしてはチラシも出していないみたいだ。
入ってみると、奥さんがニコニコといらっしゃい。
二人でやってるみたいで、旦那さんも30代くらいかな。
ちょっと時間が遅いせいか、残りのパンも少ない。
「始めたばかりで、あんまりたくさん焼いてない。」
と旦那さん。
「愛想んないでしょ。」
と笑う奥さん。
なんだか私の頬まで赤くなった。
バゲットはもうなかったので、
菓子パンを幾つか買った。
私用にはブルーベリーとクリームたっぷりの、
これは家に帰るまでに食べてしまう。
そして、お父さんにはアンパンを。


パン屋開拓はじめました記念
15日に書いてたけど載せるの忘れてた。
次回はいつになるのやら。