星への扉 -序文

その光はこの数千年の間,絶えてひさしいものだった.
かつて空一面に満ち,星々を往来した者たちを彼らは覚えていた.
その光はゆっくりと,しかし確実に強さを増した.
一世代を数えるころには,昼間でももっとも明るい星となった.
光の時代はとうの昔に終わってしまった.
子供のように無邪気だった人類もどこかへ消えてしまったのだった.
この光は,その人類の迷い子だろう.
星の海を渡ってきた,恐らく最後の船は,
長い道のりを越えてやってきた.
そして,永い時間を越えて.