ガサツな私

「お前はガサツだな。」
「せめて、大雑把といってよ。」
まぁ、いつものやりとりなんですけど。
自他共に認めるところではあるけれど、
私はかなり大雑把な性格らしい。
旦那もそれについては諦めている。
つきあい始めて間もなく、
このことについて彼は全面降伏してくれた。
とはいえ、ズボラな訳じゃない。
共稼ぎだけど食事の用意はしているし、
ゴミは決められた日に出す。
洗濯物は貯めないし、
家の中はキレイに片付いている。
自分で言うのも何だが、
人並な主婦をしていると言ってもいいと思う。
つまり、日常生活さえ回っていれば、
私はそれで充分満足なんですよ。
なんて満ち足りた素晴らしき日常だろう。
という、ここまでが言い訳ですね。
先日、越してきたばかりの我が家だが、
もちろん洗濯機もあるわけで。
旦那が独身時代から使ってる古いタイプだ。
水道に旦那がつないでくれた。
ふと気がつくと、
蛇口とホースの継目からポタリと水が漏れた。
大した量でもないようだったので、
空いたプリンの容器を置いてみた。
溜まったのは一日で容器の1/3ほどだった。
それなら毎日水を捨てれば、これでいいや。
何の問題もない、平和的な解決だ。
一ヶ月ほどして、風呂上りに彼が訊いてきた。
「コレなんだ?」
少し水の溜まったプリン容器を片手に。
事の次第を話した訳ですよ。
「まぁ困るって程じゃないし。」
という私をよそに、
彼はバスタオルを腰にまいたまま、
蛇口とホースの継目を見ている。
「古くなってるから、新しい継口買わなきゃな。」
日曜の朝に目が覚めると、
旦那は洗濯機の継口を外していた。
根本的に解決しないと気が済まない彼らしい。
「今日は映画観に行くはずでしょ?」
少しだけバツが悪そうに彼は、
「これ新しいのに換えなきゃなぁ。」
本当に面倒くさい性格だこと。
コーヒーを煎れて、
洗濯機の前に坐っている彼の側にマグカップを置いた。
しばらくして、
「おっ」と彼から声がもれた。
行ってみると、
一度外した継口が元通りにつながっている。
「ゴムがヘタってるけど、しばらくはもつだろう。」
蛇口をひねると、確かに漏れは止まったようだ。
「プリンの容器で良かったじゃん。」
私のささやかな反抗を無視して彼は、
「映画、まだ間に合うよな?」
ちょっと微妙かもしれない。
全く、男の子というのは手間のかかる人種だ。
けれど、今回の妥協点はこんなところだろう。


水漏れが収まった記念
現実は1年半放置してました。