初夏というには少し早い季節,その邦は豊かな緑を湛えていた.
都城を巡る強固な城壁は所々つたに覆われ,まるでその壁から溢れ出たように木々が国中に拡がっている.
その木立につらなるように並木が四方へ伸び,東国から城門へ至る道にも寄り添っていた.
リア-フの物語 プロット (追加)
小さな町のごく月並みな家に彼女は生まれた.
そして,普通の町娘として育ち,暮らし,子を育て,家族の墓に入るはずだった.
彼女の人生は,どこにでもある平凡なそれが待っているはずだった.
彼女がまだ幼かった頃,街は突然に竜の襲撃を受けた.
その一晩で町の多くの者が命を失い,街のほとんどの家は瓦礫と化した.
朝になり,変わり果てた世界の片隅で,彼女は自分が一人ぼっちになったことを知った.
数日後,「竜を追う者達」に助けられ,引き取られた彼女は,その名をリアーフといった.
「竜を追う者達」は人知れず山間に住んでいた.
彼らは賢者の指導のもとで密かに魔法使いを育てていた.
それは来るべき竜族との対決への備えであった.
身寄りのないリアーフは,彼らに混ざり,その中で少しづつ魔法を習得していった.
密かな生活の中で,彼女は自分の恋に気が付いた.
若い指導者の一人は,智と力に満ちており,彼女には眩しかった.
それは適わぬ夢であり,それ故にリアーフは露にすることなく,その想いを心の奥底にしまった.
しかし,つかの間の平和な日々にも終わりがきた.
魔術の匂いを嗅ぎつけた竜の群れが,彼女らの村を襲った.
いまだ技の未熟な魔法使いの弟子たちは抗うすべも無く,たやすく竜の餌食となった.
むしろ隠すことのできない若々しい魔力が,彼らの仇となり,逃れることさえ彼らには許されなかった.
助かったのは,偶々村を離れていたリアーフら数名だけだった.
生き残った者に待っていたのは地獄だった.
度重なる竜の襲撃,復讐のための厳しい修行と,旅の中での食うや食わずの生活.
彼らには,一瞬の安らぎの時間さえかなわぬ夢となりはてた.
殊に,他のものに比べ資質乏しいリアーフにとっては,その荷は重かった.
彼女の想い人が,竜の手に掛けられたとき,その絶望は,彼女から女としての全てを奪い去ってしまった.
いまや全てを失ったリアーフは自らに呪縛となる術を施した.
感情は押し殺され,目は色を忘れ,その声は抑揚を失った.
そして心を,ただひたすらに鋼のように鍛え上げた.
「竜を追う者達」は,ついに竜を撃退する糸口となる魔法を解明した.
その法術を修得した者の中には,リアーフの名があった.
ほどなく,その術を使う時がきた.
竜を追うように旅を始めていたリアーフは,ある城塞都市で若い竜と遭遇した.
リアーフは術を駆使し,苦難の末その竜を城壁に追い詰め,そして,遂にはとどめをさすことに成功した.
しかし,リアーフを待っていたのは,更なる地獄に過ぎなかった.
竜の血の海の中で,街の者達からの感謝の言葉は,形だけがむなしく響いた.
血まみれのリアーフに向けられた彼らの眼差しは,竜さえも殺す強大な力を持った「化物」へのそれに他ならなかった.
リアーフは早々にその街を去った.
そして,リアーフは知ったのである.
これまで考えていたよりも,自分が失ったものは遥かに大きいことを.
そして,これから先まだまだ多くのものを失っていかなければならないことを.
続く数年の間に,リアーフら「竜を追う者達」は竜を撃退し,少しずつ人間の版図を広げつつあった.
あるとき,リアーフは竜の言葉ではなく人の言葉で語りかける竜と出会った.
彼とは幾つかの言葉を交わしただけであったが,リアーフはこのとき気が付いた.
自分は人よりも,むしろ竜の方に近いのではないかと.
そしてこれ以後,リアーフは竜を殺すことを止め,言葉の力を持って竜を追い払うようになった.
このために「竜を従えるリアーフ」と呼ばれた.
それはそれは白い夏
遠い昔の遥かな地より
揺り囲籠(かご)の中で目を開く幼子よ
さあ,おまえに教えてあげよう
紳士方(ディナマッハ)の生活(くらし)を
妖怪達(フェアリ)の遊びを
妖精(エルフ)の群れ飛ぶわけを
事実ではなく,眞実の出来事を君に
それは,母から聞いた子守唄
遠い昔の遥かな地より
語り継がれた物語.
揺り囲籠(かご)の中で寝息安らかな吾子よ
この,おまえを守ってあげよう
丘の人(トロル)の取り換えから
邪鬼(ニンフ)のあやかしから
風(シルフ)にさらわれないように
その首に御守をかけてあげる
それは,祖母にもらった児守護符
何時の時代の何処の地にも
変わることのない物語
揺り囲籠(かご)の中で夢みる我が子よ
今,おまえに話してあげよう
語り継ぐべき物語を
言葉に出来る全ての事を
言葉にならないあらゆるものを
いつの日にか,おまえが語るその為に
それは秘められた御伽話
決して同じ言葉で繰り返されることのない物語
1994年
なんかくれ更新
クルクスス カルカクンデ
後の歴史で語られるところによれば,イリティヨン城宮への襲撃は東征公家(シグア家)が関与していたという.
彼らは戦後の混乱を巧みに利用し,力を集め,その矛先を主公家と竜族に向けさせた.
一度流れが出来てしまうと,力は力のために求められ,次第に大きく成長しそのはけ口を欲した.
最後の一押しが成されると,堰を切ったように力は城を襲った.
当時,世界を統べるのは竜人族の盟主たるオーダー王家であり,人族の筆頭ルウィク公家がその補佐に当たっていた.
しかし,それはあくまでも名目上であった.
人族のみならず,竜人族も先の征竜同盟によって疲弊していたからである.
悪竜の封滅によって,魔力の源である多くの宝玉と宝剣が失われ,多くの犠牲者を出し,かなりの土地が荒廃した.
残されたものたちは,多くの怪我人や病人を支えながら,生きてゆかねばならなかった.
竜人族に残された僅かな宝は,主都イリティヨンに集められ,世界再建の礎とされた.
しかし,その力を支えるには,オーダー家とルウィク家だけではあまりにも疲れていた.
封滅の際の国土の荒廃によって,数多くの難民が主都へやってきた.
彼らは明日の食事にも事欠いていた.
日に日に多くなる避難民に,主都の食料の蓄えも心もとなくなっていた.
かの騒乱が起こったのはその頃である.
襲撃は不可避の出来事であったとも云われるが,本当だろうか.
実際,小さな騒ぎは後を絶たなかったが,組織化されていなければ,城が落ちることは無かったであろう.
また,その次の夏はそれまで数年に比べよい気候であり,騒乱がなかったならば食糧事情も好転していっただろう.
栄華の後の混乱ではあったが,この頃の人族はいまだ竜人族の下で敬謙に世界を統べていくことができたはずである.
しかし,シグア家の企みは全てを見通すかのように,最悪の状況へと世界を陥れていった.
城への襲撃が最悪の結果に終わったのは,それが後に続く多くの悲劇の始まりとなったためである.
城の精鋭は不意を付かれたが,先の同盟を生き残った者達である.
組織化されたとはいえ暴徒をものともしなかった.
失われた命は10名に満足ず,多くの宝玉は無事守られた.
しかし,最も守られるべき王権の象徴「水の舞」とエイノア姫は奪われた.
また,このとき多くの竜人族と人族が剣をまみえている.
これは有史以来極めてまれな出来事であり,このことから生じた幾つかの誤解が後の人竜戦争の発端となった.
————
仕事方面で,自発的にナニしてアレすることに.
ということで,生活は超節制モードに入ります.
すいませんが,分かる人だけ分かってください.
体調絶不調で早く帰って蕎麦食って寝ました.
読了:よみきりもの 6 竹本泉
いつまでも変わらない世界がココにある.
メモ:マヤ 須藤真澄
近所で見つからなかったので bk1 しました.
月に化かされて猫になった日
あのですねぇ.
夢の中でも自分は自分なんですが.
夜部屋に帰ってくると,ベッドの上で本来の姿に戻るわけです.
ま,猫なんですが.
飼い主はもう既に死んでいるのですが,
飼われていた猫が飼い主に化けて普段どおりの生活を続けているようです.
しかも,その飼い主が自分なんです.
何だか,ややこしいですネ.
寝ていると,窓から誰かが覗いているに気が付いて
「コラー」
って自分の声で目が覚めました.
月明かりに惑わされて見た夢でした.
—————
SRX7 に Fedora CORE 1 から入れ直してみました.
この段階で,スキャンしてもやはり smb 共有のプリンタのみ表示されませんでした.
ただし,プリンタについては,kernel 2.6.2-1.74 と kde 3.2 を入れた後にプリンタ設定を手書きで書くと,smb 共有のプリンタが使えるようになりました.
相変わらずスキャンはされませんが.
入れ直したら,ieee1394 の PCGA-DVD1 が見えなくなりました(涙).
/dev/scd1 で mount できない.
sonypi もジョグダイアルのスクロール以外は使えなくなっちゃった.
alsa は相変わらず不安定.
リア-フの物語
プロット
小さな町のごく普通の家に彼女は生まれた.
そして,普通の町娘として育ち,暮らし,子を育て,家族の墓に入るはずだった.
彼女がまだ幼かった頃,街は竜の襲撃を受けた.
その一晩で町の多くの者が命を失った.
朝になって,彼女は自分が一人ぼっちになったことを知った.
竜を追うものたちに見つけられ,引き取られた彼女は,その名をリアーフといった.
「竜を追う者達」は人知れず山間に住んでいた.
彼らは賢者らの指導のもとで密かに魔法使いを育てていた.
それは来るべき竜族との対決のための準備であった.
その中でリアーフも魔法を少しづつ習得していった.
密かな生活の中で,彼女は自分の恋に気が付いた.
若き指導者の一人は,智と力に満ちており,彼女には眩しかった.
それは適わぬ夢であり,それ故にリアーフは露にすることなく, 心の奥底にしまった.
しかし,つかの間の平和な日々にも終わりがきた.
魔術の匂いを嗅ぎつけた竜は,彼女らの村を襲った.
いまだ技の未熟な魔法使いの弟子たちは, 抗うすべも無くたやすく竜の餌食となった.
むしろ隠すことのできない若々しい魔力が, 彼らの仇となり,逃れることさえ許さなかった.
助かったのは,偶々村を離れていたリアーフら数名だった.
生き残った者に待っていたのは地獄だった.
度重なる竜の襲撃,復讐のための厳しい修行と生活,
彼らには,一瞬の安らぎの時間さえかなわぬ夢となりはてた.
殊に,他のものに比べ資質乏しいリアーフにとっては,荷は重かった.
彼女の想い人が,竜の手に掛けられたとき, その絶望は,彼女から女としての全てを奪い去ってしまった.
眼鏡ボサ髪タバコで不良
公立美術館の学芸員のくせに機械が得意.
周りからは,パソコンについては何でもできると思われているが,本人はそうでもないことを知っている.
最近30代に突入したのであまり機嫌が良くない上に,白衣で猫背.
時々,面倒見が良いが,それがトラブルの元になること多々あり.
実際タバコは週に1箱程度なのだが,なぜかヘビースモーカーの印象をもたれている.
地方出身,独身一人暮らしで出不精.
休みの日は一日ベッドで読書が趣味といえば趣味.
以上,上のイラストの人のプロフィールでした.
名前は浅上(あさがみ)さん.
昨日は本屋でコミッカーズ秋号を買う.
だってメガネ特集で田丸浩史,西川魯介さんが出ているんだもの.
しかも西川さんの「メガネ妄想」はマザーグースのもじりだし.
他にも西尾維新x竹さんやオイダキ.comのリリコさんも載ってるし,けっこう濃ゆいかも.
エルフを狩るモノたち 3, 4, 5 矢上 裕
カキフライ
隣町へ遊びに来るように簡単に数百光年を超えてこの星へやってきたのは自称魔法使い見習いの女の子で二人組,生意気な子と大人しい子.
たまたまファーストコンタクトしてしまった「ボク」は大人しい方に一目ぼれしてしまった.
あちらの星系の慣例に従って,生意気な方は全権大使になってこの星にそのまま滞在することに.
大人しい方は晩御飯の仕度のために帰ってしまい,ボクの初恋は3時間にして終局を迎える.
ところが,生意気な方が政府代表団を突っぱね,交渉相手にボクを指名してきたことから,事態は思わぬ方向へ...
朝チーズバーガー
見つけられた手紙は瓶に入っていました.
もちろん,栓はコルクで大きめです.
瓶の口が小さめなので,なかなか手紙が出せませんでした.
出てきた紙は厚めで,少し青の混じったインクです.
言葉はこの国ものでしたが,日付は80年前のものだったのです.
彼が彼女に恋してしまったとしても,無理はありません.
その手紙が伝えたのは,古い骸ではありませんでした.
送り出されたその日のままの,気持ちだったから.
その小さな紙切れに,
書けるだけの文字で,
一人の名前,
一つの日付,
一つの地名,
そして,一行の文章.
それが全部でした.