私は天使だったから

遅すぎるよ君は
こんなに私を待たせるなんて
ずっと独りだったから
背中の羽根はしぼんでしまった
むかしむかし、私は天使だった
笑顔ひとつで幸せを生み出したよ
家族限定だったけどね
もう空を自由に飛べないけれど
それでも肩に力をこめるよ
小さくなった翼だけれど
いっぱいに拡げて、風に乗る
君へ向かって吹く風に
だから、茨の道も越えていくよ
君にもあげるよ、笑顔をたくさん
眉間のシワも無くしてしまうよ
だって、私は天使だったから
だから優しく受け止めて
そしたらなれるよ、もう一度
君だけの天使に


My Dearest 好き記念

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雨の日には雨の歌を

「コチ、コチ、コチ、…」
時計の音だけが部屋の中に響く。
ベッドの中で目を開くと、まだ薄暗い。
枕元のケータイを見ると、
もう9時をまわっていた。
頭はまだ半分眠ったまま。
この部屋の時計はケータイだけだ。
「ポタ、ポタ」
と途切れがちに鳴るのは、
隣家の壊れた雨樋から垂れる音。
そいうえば、実家にはボンボン時計があったっけ。
昨夜は風邪気味で早く寝た。
まだダルさが残っていて、少しモノい。
そのままベッドでごろごろする。
確か雨の日に歌う歌があったけれど、
思い出すことができなかった。
雨の日に考えることなんて、
ロクな事じゃない。


雨の日記念
このところ自転車乗れなくて寂しい。

掃除スイッチ

時折、静かに密やかにONになる、
それは「掃除スイッチ。」
天気の良い休日だとか、ありがちだ。
例えば、床に少し水をこぼしてしまうとする。
雑巾を取りに行くとクリーナーが目に入る。
とりあえず雑巾を手に戻ってくる。
食器棚のガラスの汚れが気になる。
拭くのはキレイな方から順だと考えつつ、
ガラスを吹き終えると、棚の上にホコリの塊が見えた。
やはり、上から順番だろうと、
棚の上の箱類を一旦、床へおろし、

気が付いたら、台所周りの掃除を終えていた。
しょうがない、とあきらめてシャワーを浴びよう。
頭を流していると、
セッケン入れに汚れが…(以下略)

ネタ供養

妄想のベクトルをちょっと変えてみようと、
少し前から考えてます。
今まで通りのも出し続けようと思ってますが、
どうなることやら。
とりあえず、ストックの供養を。
何食わぬ顔でしれっと出すかもだけど。
・解説委員 帰る
・糠小学校図書室司書
・正露丸スィートメモリー
・袖を折る旦那
・誰かに見られている
・ややタレ気味
・鰯を五尾
・ショートの悩み
・ピーマンもらった
・踏まれたり蹴られたり
・焼き菓子のユーワク
・痛点ヒット
・ミルクパン
・風邪ひきとテレビ
・タカノツメ
・カブの浅漬け
・ホット カルピス
ナムナム、成仏しておくれ。

パンを食べ尽くせ

命令形だ。
なぜならば、我が家はパン党だから。
ただし、父さんをのぞいて。
朝は必ずパンとコーヒー。
昼は学食だけれど、
晩御飯でも半分くらいはパンかな。
パンといえばバゲットだ。
トラディッショナルな、甘くない硬いヤツ。
これは母さんがゆずらない。
だから、いうなれば我が家の掟である。
姉さんはワンポイントが好み。
クルミやドライフルーツが入ったもの。
季節にはクリや五郎島も。
私はといえば甘党で、
生クリームやカスタードを乗っけるのが大好きだ。
だから、いつまでも子供扱いされている。
新しいパン屋さんのオープンは必然、一大イベントになる。
週末には一家揃って買い出しだ。
全品コンプリートも、小さな店なら冗談じゃない。
しかし今日は、学校帰りに一人で抜け駆けである。
通学路の近く、友達に教えてもらった新しいパン屋さん。
裏通りなので目立たない小さな構え。
今時にしてはチラシも出していないみたいだ。
入ってみると、奥さんがニコニコといらっしゃい。
二人でやってるみたいで、旦那さんも30代くらいかな。
ちょっと時間が遅いせいか、残りのパンも少ない。
「始めたばかりで、あんまりたくさん焼いてない。」
と旦那さん。
「愛想んないでしょ。」
と笑う奥さん。
なんだか私の頬まで赤くなった。
バゲットはもうなかったので、
菓子パンを幾つか買った。
私用にはブルーベリーとクリームたっぷりの、
これは家に帰るまでに食べてしまう。
そして、お父さんにはアンパンを。


パン屋開拓はじめました記念
15日に書いてたけど載せるの忘れてた。
次回はいつになるのやら。

流しのマット

連休は部屋の掃除をした。
秋空の下、気分を換えるためにいつもより丁寧に時間をかけた。
流しの足元のマットを見たら、
小さなゴミが意外にたくさん出てきた。
洗濯機に入れる前に、手でチマチマとゴミを取っていた。
米粒がでてくる、まぁそうだ。
大きめのパンくずは、ハンバーグの時のパン粉かな?
カツブシの欠片もある。
コーヒー豆、朝はよく飲んでいた。
独りではもう煎れないけど。
黄色いコレは何だろう。
お茶っ葉かな?匂いを嗅いでみる。
彼は気を使って、私の前ではタバコを吸わなかった。
私の見てないときは換気扇の前で一服してたのね。
洗濯が終わったら、模様替えの買い出しへ行こう。
台所のマットは、
もう少し使ってやるか。


台所のマットから色々出てきた記念
タバコはなかったよ。

女は台所

いえいえいえいえ、
女が料理をするということも、案外大変だ。
我が家の伝統は、
「料理は手間、それを気づかせてはイケナイ。」
例えば、ブリ大根は造るだけなら簡単だ。
大根とブリを煮こめば、なんとなく形にはなる。
けれど、アラに手をかける度合いで、
確かに出来は全然違う。
「金沢は魚がおいしいから、
 下手な味付けよりも、手間をかけた方がいいのよ。」
と祖母は言う。
そして、気兼ねなく食べてもらうのがいい。
レシピは値が張るものを必要とせず、
秘伝の何たらを使うでもない。
ありきたりの家庭料理に限る。
人に食べてもらうのが上達への近道だ。
サークルの男の子が風邪をひいたのでお見舞いに行った。
彼はいわば実験台。
下ごしらえしてきたお粥を、
高杉クンの部屋で温めた。
用意してきた一人用の土鍋は必要なかった。
なかなかキチンと使われている台所だ。
最低限の道具でうまく使っている感じが好印象。
残念ながらというか、当然というか、
味の感想は聞けなかった。
風邪をひいているんだから、そうだよね。
おまけに交際を申し込まれたようだけれど、
風邪が治るまで、答えは保留かしらね。


この話も対にしないといけない気がした記念
やっぱり手間かけないとね。

オニギリ勝負

「いつもと味が違う。」
椿谷はそう言いつつ、首を傾げながら私のオニギリ一個を平らげた。
「そう?」
口にしてみると、確かに何か違う気がする。
具といっても自家製の梅干しだけだし、
お米はおじいちゃんの田んぼのものしか使わないはず。
なら、この違和感は何だろう?
教室の外は晴れ渡った秋空。
文化祭も先週終わり、
学校中はまったりした空気に包まれている。
今日もご飯がおいしい。
「ねぇ、ねぇ」
小夏に小突かれて我に帰ると、
椿谷は既に三個目を食べ終えようとしていた。
「何やってんのよ!」
私が振り降ろした箸箱を器用によけると、
椿谷は教室の外へ逃げて行った。
ヤツは食欲に正直なタイプだ。
いつも自分の弁当を食べ終わると、
人様の弁当をつまんで回る、男女関係ないのでたちが悪い。
中でも私のは「罪悪感が少ない」という。
私は残った6個のオニギリに手をつける。
確かに人よりは少し多いかも知れない。
でも部活もあるし、成長期だから仕方ない。
椿谷がいないことを確認して、
おかずのタッパを開く。
家に帰ってからこのことをお母さんに話した。
「今朝はもち米が切れちゃってね。」
お弁当やオニギリには、
コシヒカリに少しだけもち米を混ぜるそうだ。
香り米が少し入っただけで、
冷めた御飯の味が変わるって。
「その子、椿谷君?
 ちゃんと味が分かるのね。」
お母さんに笑われた。
負けたのがヤツだったので、少し悔しい。


もち米が切れた記念
普段は5%くらい。

男の台所

いやいやいやいや、
男が料理するということは、そう簡単じゃない。
「男なのに料理するんだ、偉いね。」
の真意が大抵の場合、
「男のくせに、この料理オタクめ。」
であることに気がつくのに1年かかった。
具体的には、3人に振られ身を持って会得した。
それはそれとして、
台所は腰に厳しい。
普通のシンクは女性サイズだからだ。
男が台所に立つと、何かと腰をかがめないといけない。
毎日となると地味に積もる。
自然と姿勢も悪くなり勝ちだ。
そんなせいか、風邪をひいて大学を休んだ。
一日何も食べなかったとツブヤいたら、
その夜サークル代表で小桜先輩がお見舞いにきた。
いつもニコニコほがらかな、大人の女性と評判だ。
お粥を作ってゼリーも付けてくれた。
風邪薬を飲んで、ベッドでうとうとしながら、
台所で洗い物をしている先輩の後ろ姿を眺めていた。
小柄な先輩はシンクにぴったりのサイズだったので、
思わず口に出してしまった。
「小桜さん、いいなぁ。」
その後も少し話をしたような気がするが、
うとうとして、そのまま寝てしまったようだ。
翌朝、気持よく目が覚めた。
風邪もすっかり良くなったようだ。
2日振りの授業を受けながら、
お見舞いのことを思い返していた。
何か先輩にとんでもないことを言ったような、
そんな気がしてきた。


洗い物は腰にくるよね記念
いつかプロの料理人になって自分サイズの台所を造る…
そんな野望は今のところ無い。

最後のビール

今夏最後のビールを開けた
とはいっても、もう秋だけど
夏に箱買いした最後の一缶
まるで夏の残り香みたい
それでも日中は日が射し
外に出ると少し汗ばむほど
スーパーで買ってきた鶏の唐揚げと
ポテトサラダで晩ご飯
TVのバラエティ番組を見ながらの晩酌も
肴が失くなったのでポテチを開く
この夏はいろんな事があった
いろいろ中略
サンセット ブリッジの風車の下で
3年つきあった彼とお別れ
今は少し落ちついて
顔を上げるくらいはできる
でも前を向くことは、まだできそうにない
さようなら、夏
さようなら、彼との思い出


買い置きの最後の一缶をあけた記念
さすがにもう箱買いはできません。